「ファーストKiss☆物語」について語ってみる

ファーストKiss☆物語」(以下FKS)は、1998年4月24日にPC-FX用ソフトとして発売された。ジャンルは恋愛ADVで、PC-FX最後のソフトである。
ゲーム内容はタイトルの通りで、第1章(共通ルート)、第2章(個別ルート)の2章構成となっており、ヒロイン(居候先の姉妹やクラスメイト、学校の後輩にバイト先の先輩、幽霊など、様々なヒロインが登場する)と初チューを交わすまでを描く。
PC-FXは、商業的な観点から見れば、失敗作と言っていいだろう。だが、ハードが駄目だからといって、ソフトも駄目だとは限らない。PC-FXのソフトには、見た目はショボくても、実際プレイしてみると面白いじゃん、というのが結構あったりするんだよな。この「FKS」もPC-FXユーザーの人気が高く、各ヒロインのファンサイトが作られている(現在でも残っている所があるようだ)。
個人的には、「FKS」は今までプレイしてきたギャルゲーの中でもトップクラスの出来だと思っている。ゲーム本編の内容もさることながら、ゲームのリセット時や起動回数に応じたメッセージ等、細かい部分にもこだわりを持って作られていたのが良かったなと。また、一定の条件を満たせばプレイできる格闘ゲーム「ヒューネックスファイターズ'98」の出来は、本当に素晴らしい。ギャルゲーのおまけで、最後の最後でこんなガチな格ゲー入れるのか! と思ったね。本当、物凄い出来。もう少しキャラ増やせば、単品でも十分売り物になるくらい。余談となるが、PC-FXに移植されたエロゲ「Piaキャロットへようこそ!!」をプレイしておくと、この「FKS」は更に楽しめるようになっている(別にエロいシーンがあるとかでなく、まあ色々とね)。
気に入ってるキャラは何といっても織倉真奈美ちゃんだ。主人公の居候先である織倉家の次女で、主人公のことを“お兄ちゃん”と呼んで慕ってくれる妹系キャラだ。演じるのは水橋かおりさん。水橋さんといえば、カスミンとかラハールとか宮子とかティオとか色んなキャラを演じてる声優さんだが、私としては〔水橋さん=真奈美ちゃん〕なんだよね。お姉ちゃん好きの私に「妹も悪くないね!」と思わしめたのだから! 真奈美ちゃんが顔を真っ赤にして恥ずかしがるシーンがあって、その直前でセーブデータを残し、それを何度もロードしては鑑賞し、のた打ち回っていたのは良い思い出だ。
「FKS」はPC-FX版の発売から半年後位にはPSに移植されている。ディスク2枚組みとなりシナリオ面の強化がある一方で、一部の表現やおまけの格ゲーがカットされている。ゲーム本編だけを楽しむならPS版で、おまけを含め全体を楽しむならPC-FX版が良いかなと。DC版やPS2版はよく知らん。
さてこの「FKS」だが、私はこのゲームきっかけで、コミケに参加するようになり、コミケだとか同人活動に対する偏見を改めることができた。もしも「FKS」やPC-FXがなければ、私は同人誌を好きになれなかったかもしれないし、戦前の治安維持法並みの東京都のマンガ弾圧に賛成していたかもしれない…というのは少々大袈裟かもしれないが、このゲームのおかげで、現在の私があると言っていいだろう。
まあこんな感じでね、色々と思い出のあるゲームなワケですよ。最後に、ニコニコ動画で見つけた「ヒューネックスファイターズ'98」の動画を張っておく。

※PS版にはこのミニゲームが入ってない。理由として容量的な問題もあったのかもしれないが、「(ミニゲームの登場キャラは)PCエンジンPC-FXで発売したゲームであり、そのユーザーに育ててもらったんだから、他機種で出すのはどうかなと」というようなことをメーカーの方が語っていた(かなりうろ覚え)。移植されるのを待ってたクレクレ乞食PSユーザーは不満に思ったかもしれないが、私のようなPC-FXユーザーとしては大変ありがたい措置だったなと思う。